【ご報告】第54回アンダーウッド学術講座

主のみ名を讃えます。

2017年9月18日(金)~20日(土)にかけて、韓国セムナン教会にてアンダーウッド学術講座が催されました。eAst21asiaからは4名の青年が遣わされました。日中韓の青年が共に座った3日間に感謝して、ここに謹んでご報告させていただきます。

アンダーウッド学術講座とは、セムナン教会の創設者であり韓国に来た最初の長老教会宣教師であるアンダーウッドを覚え、信仰を立ち返るための場となっています。日本と、中国(おもに留学生)の青年交えた東北アジアキャンプが金、土と行われ、日曜の5部礼拝後から学術講座が行われます。そして、eAst21asiaができたきっかけとなったのも、このアンダーウッド学術講座に日本人が招かれたことから始まるのです。

今回は「青年と21世紀の宗教改革」というテーマで、約40人の青年が集いました。

金曜日の夕方に女伝道師館に集い、開会礼拝の後に各国紹介をしました。日本青年としてeAst21asiaの紹介と国際会議のアピールもさせていただきました。

その後、事前講義の概要発表では、金ドンヒ牧師より、今回のテーマであり学びの核となる宗教改革と現代について説明していただきました。まず、宗教改革の社会的背景や状況について学び、オスマントルコの物質主義、ルネサンス時代、教会の堕落等の背景があったことを知りました。修道士であったルターは腐敗への疑問を感じ、95か条の論題をヴィッテンベルクの聖堂のドアに貼り、当時流行りだしたグーテンベルクの活版印刷を用いて論題をドイツ中にばらまくことによって、「聖書のみ、信仰のみ」という宗教改革の基本的な思想は聖書の翻訳を可能としました。次に、現代では韓国教会も腐敗しており、聖書は自分の問題のみに関わるものだという誤解が私的な教会を生んでいる現状がありますが、そうではなく、社会と聖書は結びつくものであり、公的な共同体としての教会が本来の姿であるということを学びました。

その後、楽しいアイスブレイクの時間を持ち、日中韓の青年が交流を深めました。

2日目はセムナン教会の教育館に集い、討論テーマが発表されて、まずグループごとに討議をしました。私のグループは約10人ほどで、牧師先生が1人、日本人の私が1人、あとはセムナン教会の青年達でした。

討論テーマは以下の通りでした。

  • 宗教改革精神の核心となるものは何だと思いますか
  • 宗教改革精神が今日の私たちにとってどのような意味を持っていると思いますか
  • 今の韓国、日本、中国の教会の一番大きい(改革するべき)問題は何だと思いますか
  • 宗教改革精神に従って今日の教会がなすべきこと、私たち一人一人にできることは何でしょうか。

私たちのグループでは、教会でのファッションについてという若者らしい話題が飛び出し、韓国では何でショート丈がダメなんだろうか、日本ではノースリーブが好まれない傾向にあるなど、国際比較を楽しみつつ、その背景にあるのは世代間や考えの違うもの同士の対話不足だという討論をしました。お互いを知るためにはまず対話しなくてはいけなくて、それはファッションに挙げられたような教会内の事柄でもそうであるし、宣教や伝道という教会外へ出ていく際にもそうであると話し合いました。

その後、国ごとに集まって討議をし、その内容を模造紙に書いて発表しました。

私たち日本チームは以下の写真のように絵を使って表現しました。

教会内において決して青年が多いとは言えない状況の日本にあっても、カフェに集まって祈りあい聖書を学びあう共同体を作ることは可能である。そこで信仰を燃やされた人々が教会へ戻って信仰を養うときに、教会から外へと出ていくことができるだろう。具体的にはSNSを用いた伝道や、地域社会との繋がりである。その時に、自分と相手の間に神さまがいて、そうやって対話することで互いを理解しあえるのではないかという討論を表現しています。

ランチ以降は、またグループごとに分けられて、ハングアウトをしました。行き先はグループごとに自ら決めてよいことになっており、私のチームでは「行ったことのないマイナーなところへ行きたい!」という私のリクエストに応えて、尹東柱のミュージアムへ行きました。単にその周辺の街並みがキレイで、ミュージアムの上の「詩人の丘」が美しいから、という理由からだったのですが、それ以上に私はそのミュージアムへ行けたことが意義深かったです。尹東柱は韓国の詩人ですが、スキルアップを目指し日本(立教と同志社)へ留学するも、戦争がはじまり、苗字を変更させられ、独立の詩を書いたところ治安維持法によって投獄、終戦(光復)の半年前に獄死しました。アンダーウッドのメンバーは「歴史的な箇所があるけれど大丈夫?」と私に声をかけてから共にそこへと案内してくれました。日本人としてそこへ行くことへの少しの緊張もありつつ、しかしアンダーウッドを通してこれを知る機会が与えられたこと、そして、韓国の兄弟姉妹と共にここを訪れられたことはとても意義深く胸に残りました。過去の苦い日韓の歴史を知りつつ、今こうして共に交流ができる現代の奇跡を感じました。

ハングアウト後、会場へ戻り、聖餐礼拝を持ちました。そして、夕食の交わりを持ちました。改めて、神の国のもと一つとされていることを実感し、2日目が終わりました。

3日目は日曜日です。午前中はフリータイムでした。私は個人的にですが、セムナンの青年と共にセムナン教会の中等部礼拝にお邪魔しました。この大規模教会において、青年や日本語礼拝参加者以外と交流する機会はあまりなく、貴重な経験でした。約100名の中学生と共に礼拝を守り、分級まで共にさせていただきました。礼拝後、たくさんの中学生が「日本語がしゃべれます!」「日本が好き!」「アニメやドラマで勉強してます!」と話しかけに来てくれたことは、本当に嬉しかったです。このように若い世代間ではソフトパワーが活かされて、日韓関係がどんどん改善していく様子が直接体験できました。

午後は日本語礼拝と5部礼拝(青年礼拝)を持ちました。

日本語礼拝は、日本基督教団からの宣教師・洛雲海先生が担当されていらっしゃいます。使徒言行録のパウロの宣教物語から、「聖なる乞食」と題して、聖職者の生き方について、伝道についての説教をいただきました。

5部礼拝は青年奉仕者によるワーシップから礼拝が始まりました。アンダーウッド学術講座のために招かれた、仁川第二教会主任牧師であられるイ・ゴンヨン牧師から説教をしていただき、宗教改革を核に、青年が行動を起こすための熱いメッセージをしていただきました。

礼拝後はクライマックスである「学術講座」。イ・ゴンヨン牧師(仁川第二教会)とイ・ドヒョン牧師(ドプロスプドンサン教会)をお招きし、お二人のパネルディスカッションを通して今回の「青年と21世紀の宗教改革」のテーマに沿って、主に地域社会と教会の関わりをご自身の教会の例も通してお話頂きました。そして、国別討論の発表を再度、より多くの方々の前でしました。最後に前日に練習した三か国語での讃美をし、終了しました。

今回のアンダーウッドは例年に比べて日本からの参加者も、また講座全体の人数を見ても、

人数が少なくはありましたが、おかげでより密なコミュニケーションが取れ、たくさん交流できたかと思います。「対話から理解は始まる」ように、まず互いが出会い、話し、交わることは、互いの偏見を払拭し関係を構築する上で非常に重要です。対話がないと、とくに日中韓においては、ネガティブな報道のみのイメージがそのまま相手国のイメージになってしまうのです。そのような重要な国際交流を、キリストの名のもとに、セムナン教会とeAst21asiaはこれからも続けていきたいです。

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